失敗は成長のもと
現場定例会議での施主さまとのお打ち合わせで、とてもうれしかったことがあります。障子紙の種類を決める日で、建具屋さんが気を遣って強化和紙を持ってきたのですが、破れにくすぎると園長に却下されました。もっと破れやすい紙を持ってきてくださいとのことでした。
私たちは園舎の役割のひとつに、上手に失敗をさせてあげられるということがあると考えています。打ち合わせの中で、それを力説したかどうかは覚えていませんが、
私達の意図に自然に共感していただけたことが、うれしかったのです。破れてもいいところ、指を詰めてもいいところ、落っこちてもいいところなど、適切なリスクを散りばめ、失敗の先に見える成長を、保育者・施工者・設計者が一体となって探求した園舎が建ち上がりました。
乳児のフロアである1 階では、受け入れコーナーやパススルーおむつ棚などを設えて、きっちりと衛生区画を行った中で、担当制保育が行われています。
幼児のフロアである2 階は、大きなワンルームとし、コーナー保育が展開されている。そのまわりには、長い座卓のある畳コーナーや、いざって昇れるスロープ、気持ちを落ち着かせるスヌーズレン、絵本のかくれがなどを散りばめました。
3 階には屋根のかかった広いデッキがあり、プール遊びなどが行われる。ビアガーデンもできるという話も出ており、お誘いがかかるのを楽しみにしています。
園長は、障子破り第一号のこどもの名を、繕った紙の上に書き記すんだと、心待ちにしておられますが、不幸にもまだ障子には穴ひとつ空いていません。