えほんと暮らす小さな居場所
「えほんがねえ、たくさんあるんですよ。」
長年にわたって買い揃えたえほんをいっぱい読んでほしいという園長の希望は、園舎じゅうに散りばめられた「えほんコーナー」という形で実を結びました。
玄関脇に親子で読む「えほんのこべや」、廊下にえほん棚付の「べんち」や「あるこーぶ」、ランチルームに枝付丸太の足元に床を掘り下げたスペース、2つの保育室の間には押し入れ下の空間を利用した「えほんのかくれが」を設え、「陽だまりでっき」にも本棚とベンチが置かれました。
こどもたちは、いつでも、どんな気持ちの時にでも、えほんに触れることができます。
一人でながめ、おともだちと囲み、先生に読み聞かせてもらい、暮らしに溶け込んだえほん棚から、きっと記憶の中で生き続ける思い出の一冊に出会えるでしょう。
生活を美しく
保育所は雑然とした室内になりがちですが、ここでは自然体ですっきりとした暮らしの時間が流れています。
壁面収納を充実させ、扉付園児ロッカーを廊下に作りつけて収納物を見えなくすると同時に、よごれ物など見せたくないものをきれいに見せる、個人別の扉付パススルー棚を沐浴室や便所に設えて、収納物を視覚的に制御しました。
床には素足に快適な天然の杉板が張られ、棚には鉢植えや品の良い装飾品が飾られています。こどもたちの力作、身長を遥かに超えるカプラの巨大作品が積みあがり、はらぺこホールの高野槇の枝付丸太には、こどもたちが攀じ登ったり、ぶら下がったりしています。
また、乳児保育室には、特殊付帯工事補助金を用いて、夜間電力を活用する蓄熱式床暖房を設置しました。室全体をやんわりと暖める、はいはい期の乳児にやさしい環境が実現しています。
「明らかにこどもが変わった。」と園長は仰います。旧園舎の時と比べ、喧嘩が減り、ゆったりとした暮らしになりました。
ここでのこどもたちの生活そのものが、美しい時間を作り出しています。